2020年2月2日日曜日

FLExICT Expo 2019 趣旨説明に代えて - 神谷による50の断想 -

久しぶりのブログ更新です。

2020年2月23日に大阪で主催するイベント、FLExICT Expo 2019 (外国語教育×ICT)の予稿集の冒頭に載せる原稿を一足先にこちらで公開しておきます。

こんな議論は大好物という方、是非ご来場ください!



趣旨説明に代えて -神谷による50の断想- 

FLExICT Expo 2018で示した断想を大幅に改定)


【このイベントの目的について】
1.      「外国語教育」「ICT」「アクティブ・ラーニング」「クラスルーム・ティップス」について幼小中高大の教育と生涯教育をフィールドとする実践事例の収集から何が分かるか?

2.      再現性のある授業研究・授業実践とはどのようなものか?

3.      教育実践者の暗黙的な知見を記述することはできるか?教育活動の見せる化・見える化は可能か?

4.      授業成功のきっかけはどこにあったか?授業失敗のきっかけはどこにあったか?

5.      学習者の成績の「伸び」だけに注目した「研究」にこれまで注力されすぎていなかったか?アンケート分析・統計処理だけで良いのか?

6.      初等中等教育と高等教育の違いこそあれど、教員評価において、教育中心評価・研究中心評価という大きな分断があるように思えてならない。これまで大学の研究者は研究業績を蓄積していくことが仕事だったが、意識改革が必要ではないか?実践事例はこれまで「仕事」としては認められなかった。

【外国語教育の射程範囲について】
7.      いわゆるEdTechのうち、日本国内で行われる外国語教育に特化した、様々なモデルを考えてみたい。ここで言う外国語教育とは、英語以外の言語教育も含む。さらに外国語母語話者に対する日本語教育も当然、射程範囲にある。

8.      主に大学で行われる初習外国語は(学生の発達段階を無視すれば)小・中学校の英語教育と大して変わるところはない。

9.      大学の英語教育においても(専攻言語としての英語を除けば)入学者の多様化に伴い、リメディアル教育の必要性が唱えられている。結局求められているところは似ている。

10.    理想的には「母語話者に対する国語教育」も含めたいところではあるが、リスニング・スピーキングに関する議論の有無という点から、ここでは一旦除外する。
  
【教育現場へのICT導入に関する現状把握】
11.    現在の教育機関に目を向けると、iPad+全学Wifiのような教育機関から、せいぜいスクリーン+プロジェクタ+持ち込みパソコン程度しか使えない教育機関まで、様々である。

12.    デジタル・インフラ(以下Dと略称)100%からアナログ・インフラ(以下Aと略称、教育機関で言えば黒板・チョーク・教卓・教科書・ノート・筆記用具ぐらいに該当か。)100%まで、様々である。

13.    デジタルとアナログをどう組み合わせるか?この方法がこれまであまり検討されていないのではないか?種々のEdTechでの取り組みも含め、これまでは先端的な事例紹介がほとんどだったのではないか?D10割、D7-A3割、D5-A5割、D3-A7割、A10割。

14.    何も教室に設置されていないため、別の保管場所から物品を運んでくるといった手間をかけないと実現できないEdTechもある。

15.    「いつでも使えるICT」「授業の一部でしか使わない(使えない)ICT」「一部の授業でしか使わない(使えない)ICT」のように、状況は様々である。

16.    デジタルデータの汎用性は本当に活かされていると言えるか?

17.    Bring Your Own Device (BYOD)の問題点は何か?BYODではない情報処理教室・CALL教室などの問題点は何か?

18.    校内のICT利用比率はどんな感じか?Wi-fiはどの程度整備されているか?学習者が自由にデジタルデバイスを校内で使えるようになっているのか?授業外・教室外でしかデジタル機器が使えない場合を考えているか?

19.    パケット通信が限定的な状況で本当に学習者は学習アプリを使ってくれるのか?(パケットを消費しない学習アプリの必要性)

20.    いくらデジタル・ネイティブ世代とはいえ、経済的な理由や家庭で禁じられてきた児童・生徒・学生もいる。このようなICT初心者へのサポートは充実しているか?

21.    大学の外国語教員の大多数はデジタルの世界を知らない。しかし入学してくる学生はデジタル・ネイティブ世代。このままでは大学外国語教員による授業は学生から「古いスタイル」と批判されることにもなりかねない。

22.    今後もしも小中高に(特に公立)これまで以上にスマホやタブレット、パソコンが授業現場で使われるようになったら、大学の授業はどう変わる?

23.    外国語教育ではどこまでLMS(Learning Management System)は有効なのか?教材作成にかかる教員の負担は正当に評価されているのか?

【予算との関連について】
24.    教育・研究のための予算がなくても実施可能な教育改善手法とはどういうものか?

25.    大学の外国語教育で特に多い「非常勤講師」の方々には通常、科研費のような外部資金を除くと教育・研究に使える個人裁量予算はない。

26.    全学導入されたタブレット等のデバイスを除けば、学習者には「教科書費用」以外ではICTにかかる費用を負担させることはできない。

27.    ICTによる教育改善は他の外国語教員にも拡大しつつあるか?一部の教員に集中するようなことになっていないか?

28.    教員の働き方改革と絡めると何が見えてくるか?ICTを導入しました、仕事が増えました、ではあまり意味がない。真の意味でのICTによる教育の効率化とは何を目標にすべきか?

29.    設備運用・設備維持にかかるコストはきちんと予算計上されているか?

【最小限のICT利用について】
30.    教員だけがタブレットやパソコンを扱うという形での授業はどう進化するか?

31.    もっとも手軽なIT機器(デジタル教具)は書画カメラ(実物投影機)?ではその次に手軽なIT機器は何?

32.    一見、外国語教育に使えるデジタル教具ではなさそうなものが、使い方次第でデジタル教具になりうることもあるのではないか?例えばメトロノームの利用。

33.    汎用性の高いデジタル教具とはどのようなものか?

34.    そのデジタル教具は教員支援型?それとも学習者支援型?

35.    教育・学習のそれぞれのステージでICTによってさらにもう一味を加えるには?どのようなアプリ・ソフト・ツールを使うことで、どのように拡張ができるか?

36.    それらを用いた活動がどう授業の活性化に繋がるのか?

37.    「アクティブ・ラーニング」や「クラスルーム・ティップス」との関連性はあるか?

【様々な言説について】
38.    「スマホを授業中に利用すること」は賛成?反対?

39.    「調べ学習にスマホ・タブレットを使うべき」という言説には賛成?反対?

40.    ICTによって教育を効率化すべき」という言説には賛成?反対?

41.    ICTの利用は1時間の授業の中で5分だけの活用でもいい」という言説には賛成?反対?

42.    「これまで30分かかった活動を20分に減らすことができ、浮いた時間を別の活動に使えるならばシステムの勝ち」(それがシステムの価値)という言説には賛成?反対?

43.    LMSできっちり教材を作り込む流れは早晩廃れると考えています。既存のシステムはどんなに改良しても帯に短し襷に長し的なところがどうしてもありますからね。現場の教師が Kahoot! の機能が欲しくなったら Kahoot! を使うべきです。」この言説には賛成?反対?

44.    「外国語の運用能力とは瞬発力」という言説には賛成?反対?

45.    「英語なんて『出川イングリッシュ』でいいんですよ」という言説には賛成?反対?

【世間の動向との関連について】
46.    機械翻訳についてどのように考えるか?

47.    例えば経済産業省は「未来の教室 Learning Innovation(https://www.learning-innovation.go.jp)を進めている。既に数多くのEdTechの事例が登録されている。

48.    「未来の教室 Learning Innovation」のようなことを取り入れることは本当の意味での外国語教育の改善に繋がるか?外国語を使える日本語母語話者の育成に繋がるか?

49.    EdTechの対象は誰なのか?教員個人レベルのためのものなのか?同じ教科書を使う先生方が共同で取り組めるレベルなのか?違う教科書でも例文を差し替えたら使えるようなレベルか?そのシステムに教科書以外の文を追加できるようになっているか?

【その他】
50.    高大連携といっても、それは単なる経営戦略上の1つのトピック(学生確保)に留まっていないか?(特に私立学校)



私の「断想」に対する異論反論だけでなく、
皆さんの「断想」も大歓迎します。


今日一日、ICTを媒介とする教育の理想を
みなさんで大いに語りあいましょう!

2019年3月13日水曜日

英語授業用 不規則動詞提示ツールを改良しました!

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※この記事は http://www.oit.ac.jp/ip/~kamiya/ivt/ からの自動リンクです。
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2019年3月13日、既存のツールに若干手を加えただけですが、改良版を開発しました。

iOS搭載機器のApp StoreからFileMaker Go 17という無料アプリをインストールしますと、上記の3番目にあるものがそのまま利用できますので、普段、教室でiPadなどのタブレット機器をお使いの先生方にはこちらが便利でしょう。

しかし、データの入れ替えにはパソコンを必要としますし(iOSでもボタンは画面上に現れますが動作しないようになっています)フォルダ内の .fmpur ファイルを .fmp12 という拡張子に変更しなければなりませんので、一手間かかります。

ただし、この手間さえ厭わなければ、生徒に不規則動詞を自習させるためのツールとしてもお使いいただけます。

FileMaker Go 17への取り込みについては、Dropboxを利用すると便利です。フォルダに入れ、右クリックして「リンクをコピー」し、urx.nu などのURL短縮サービス・QRコード生成サービスを使い、プロジェクタ等で投影したURLをSafariから入力させるか、QRコードをカメラで読み取らせると起動できます。

もし「プレビューを表示できません」と表示された場合,画面右の上「・・・」(3つの点)→「エクスポート」→「別のアプリで開く」→「FileMaker Goにコピー」をタップしていくと正常に開けます。

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2010年8月に外国語教育メディア学会で発表した「不規則動詞 提示ツール」の改良版を公開します。学校や塾などでご自由にお使い下さい。このツールはExcelファイルで作成した英語動詞の「日本語訳、原形、過去形、過去分詞形」を様々な方法で表示できるツールです。教室内でプロジェクタや電子黒板を使って提示し、指導者のあとについて生徒が声を出しながら読む練習などで使えます。

ダウンロードはこちらからどうぞ。
Windows 用
Mac OS X 用

不規則動詞のデータ34件を入力したExcelファイルも公開します。これを任意の内容に書き換え、上書き保存したものを「不規則動詞 提示ツール」の起動画面右上の「Excelデータ取り込み」ボタンで読み込むことができます。

Excelファイルは以下のような単純な形です。

ツールをダウンロードしたら圧縮フォルダを展開し、IVT130527.exe (Mac OS X 用は IVT130527.app) を起動して下さい。初回起動時のみユーザー名を尋ねてくる場合がありますが、何を入れても動作します。

起動すると以下のような画面が表示されます。

画面上部の「表示順」は、Excelファイルの内容を入力順に提示するか、ランダム順に提示するかを選べます。また「ループ」を選ぶと、最後まで表示されたら1件目に戻ります。

「提示開始」をクリックすると以下のような画面が表示されます。白い枠が上から順に現在形、過去形、過去分詞形で、右側に日本語訳も表示されています。これらの枠内をクリックすると表示内容を出したり消したりできます(日本語訳の欄には枠はありませんが同様に動作します)。この機能は語形変化を提示しながらの音読練習などで学習者が語形を思い出せない場合などに一時的に表示すると便利です。


表示画面の上部にある左右の矢印で前後の単語に移動できます。起動画面のデフォルト表示項目で「ランダム1箇所」や「ランダム2箇所」を選んでいる場合、単語が変わるごとに表示枠もランダムで変わります。

ツール上で枠内をクリックすると、以下のようなスライドをいろいろと表示することができます。空いている場所を口頭練習したり、全体を表示してから少しずつ消していくといった使い方だと生徒たちも楽しく学習できるのではないでしょうか。これを黒板とチョークでやろうとするととても大変です。








通常、このようなスライド教材はPowerPointなどのソフトで作成されますが、本ツールのようなインタラクティブな利用(枠をクリックしたら表示・非表示を切り替えられる)などを行うにはかなり大変です。本ツールの場合、データは単純な形のExcelファイルで用意し、これをツールに取り込むことで様々な方法で表示することができるようになっています。

英語教員の皆様の授業の活性化に是非ご利用下さい。

操作方法などのお問い合わせはメールで kmyken1 [at] gmail.com までお気軽にお尋ね下さい。ご要望や改善提案なども是非お寄せ下さい。

私は以前から黒板とチョークでやるのは困難・不可能な指導をスライド教材を使って円滑に進めるという方法に関心があります。PowerPoint型の教材にも様々な工夫がなされたものもありますが、一つのデータを様々な枠に流し込んで多目的に利用することができるデータベースソフトウェアの仕組み(とはいってもこのツールではせいぜい年賀状の宛名書きソフトで使われる程度の限られた機能ですが)はスライド教材作成にも応用できる余地があると思います。

今後もいろいろなアイデアを少しずつツール化していき、これまでにはなかった教員支援型・授業支援型の開発を継続していきたいと考えています。先生方のアイデアも是非お聞かせ下さい。新しいツール開発に向けての共同研究に発展していけるかもしれません!(ちなみにこの不規則動詞提示ツールの2010年8月の最初の発表を聴きに来て下さった先生方との共同研究は総勢7言語12名の共同研究プロジェクトに発展しており、今も新しいツール開発と実践利用を繰り返し行っています。このプロジェクトについてはこちらの記事にまとめています。)

これ以外にもスライド教材を効率的に表示するツール類も公開しています。http://www.oit.ac.jp/ip/~kamiya/ からどうぞ。

2019年2月19日火曜日

2019.2.23 JACET関西支部 ESP研究会でワークショップをやります。

2019年2月23日(土) に「最小限の手間で授業を活性化するためのソフトウェア」というタイトルで自作ソフトウェアのワークショップをやります。

今回の会場ではインターネットが使えないと聞きましたので、USBメモリ20本分用意したツール類を利用し、BYOD環境でワークショップをやることにしました。

当日配布するUSBメモリの内容は以下に掲載しておきます。圧縮を展開していただいたら、まずはフォルダ内の「20190223_ESP研究会_神谷.docx」をご覧ください。

Windows用
MacOS用

今回の発表は私の博士論文の内容にもかなり近いので、全文を含めております。初の一般公開です。いずれは大阪大学機関リポジトリでも公開される予定です。

今回は欲張って4つも自作ソフトウェアを紹介するのですが、ワークショップ形式でもあります。果たして90分で足りるかな?

以下、研究会の案内です。

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日時:2019年2月23日(土) 14:00-16:50
場所:キャンパスプラザ京都 6階 第1講習室
http://www.consortium.or.jp/about-cp-kyoto/access

Date: Saturday, 23 February, 14:00-16:50
Venue: Lecture Room 1, 6th floor, Campus Plaza Kyoto
http://www.consortium.or.jp/about-cp-kyoto/access

内容:
14:00-14:05 開会 (Opening)
14:05-15:35 ワークショップ(Workshop)

神谷 健一 (大阪工業大学)
Kenichi Kamiya (Osaka Institute of Technology)
タイトル:最小限の手間で授業を活性化するためのソフトウェア
Title: Software for Activating Lessons with Minimum Labor

要旨:このワークショップでは参加者の方々に最小限の手間で授業を活性化するためのソフトウェアを体験していただきます。ご用意いただける方は是非ともノートパソコンをご持参ください。WindowsでもMacOSでも構いません。入力はExcelで作成した専用のフォーマットに1回だけで済みます。そしてアイデア次第で授業の様々な状況に応じて利用できます。
Abstract: In this workshop, you will experience the software to activate your classroom lessons with minimal labor. Please bring your laptop computer if possible. You can use Windows PC or MacOS. You need to input only once to an Excel file prepared beforehand. Then, you will enjoy various ways to show according to your ideas. The software will be available to various situations of the lesson.

詳細およびイベント案内 (For more information):
http://www.oit.ac.jp/ip/~kamiya/ [研究用サイト]
http://kmyken1.blogspot.jp/ [ブログ]
http://flexict-expo-2018.jimdosite.com [イベント案内]

15:35-15:45 休憩 (Break)

15:45-16:30 研究発表(Research)
スミス朋子(大阪薬科大学)
天ヶ瀬葉子(同志社女子大学)
野口ジュディー(神戸学院大学)
Smith Tomoko (Osaka University of Pharmaceutical Sciences)
Yoko Amagase (Doshisha Women's College of Liberal Arts)
Judy Noguchi (Kobe Gakuin University)

タイトル:薬学系大学生のための専門語彙教材開発と効果の検証
Title: Development and validation of technical vocabulary study materials for pharmaceutical students

要旨:本発表では、薬学系の大学生対象に開発された専門用語の語彙教材及びその検証を紹介する。専門用語は、①専門用語(ギリシャ語・ラテン語から派生)、②半専門用語(医療で特別な意味を持つ多義語)、③一般専門用語(患者が使う基本的用語)の3種類に分類して開発した。これまでに行った検証では、教材の効果が確認された。
Abstract: This presentation describes the development and initial validation of English technical vocabulary study materials for Japanese pharmaceutical students. The terminology was divided into three types: 1) technical terms derived from classical Greek or Latin, 2) sub-technical terms with multiple senses that have special technical meanings, and 3) terms used by laypeople. The validation study found the materials to be useful.

16:30-16:45 来年度について,他 (Plan for the next year, etc.)
16:45-16:50 閉会(Closing)
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2019年1月24日木曜日

イベント案内:FLExICT Expo 2018

私が研究代表者を務める科研が主催するイベント、FLExICT Expo 2018を、2019年3月24日、大阪・梅田にて開催いたします。

FLExICTとはForeign Language Education x Information and Communication Technologyの略で、外国語教育への情報通信技術の応用を意味しますが、今年度はActive LearningとClassroom Tipsとも関連付けた欲張りなイベントにしたいと考えています。

詳細は http://flexict-expo-2018.jimdosite.com をご覧ください。

参加受付は以下のサイトで行なっております。

2017年9月3日日曜日

リンク切れが多数発生しております。

このブログからのリンクの多くはDropboxのPublicフォルダを利用していたのですが、Dropboxの利用規約改正に伴い、多くのリンク切れが発生している状況です。9月末までの修正を見込んでおります。

ご不便をおかけします。

そしてご不便をおかけされました…